■道路公団「猪瀬民営化」の破綻
高速道路で導入されている多くの料金割引が、この4月の新年度から、一部を除いて廃止・縮小される見通しだ。
国費で負担してきた割引財源が、3月末で底をつくからで、政府は24日からの通常国会に道路整備特別措置法の改正案を提出する予定である。だが、問題はそれほど簡単な話ではない。
国土交通省はすでに、構造的な赤字の垂れ流しが続く本州四国連絡高速道路会社の債務について、比較的収益性が高い本州の高速道路会社に事実上、肩代わりさせることを正式に決定している。
政府の計画では、2005年の道路公団民営化にともない、50年までに高速道路はすべて無料になるはずだった。ところが、この当初方針も、とりあえず65年まで15年間、先延ばしするという。
いずれも、民営化計画で柱となった内容の重大変更である。これでは政府自ら、民営化計画の破綻を認めたことに等しい。
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小泉純一郎首相時代にまとめられた民営化を中心で担ったのは、つい先頃まで東京都知事を務めていた猪瀬直樹氏である。いわば「猪瀬改革」ともいえるのがこの道路公団民営化だが、結局、計画はスタートから10年を経ずして、根本から修正を余儀なくされた形だ。
まずは、道路公団が民営化にされるに至った経緯から振り返ってみたい。
1956年に設立された日本道路公団は、その後数十年間にわたり、日本の主だった有料自動車専用道の建設、維持・管理を担ってきた。しかし、巨額の公的資金が投じられる道路建設は、格好の政治利権ともなった。「親方日の丸」の組織は肥大化し、業務の非効率性や、膨れ上がる一方の債務問題などが深刻化していった。