サントリーHDが巨額買収を仕掛けた食品業界では、海外を舞台としたM&A(企業の合併・買収)の動きが加速している。世界市場全体では巨大企業による寡占化の流れが顕在化しており、生き残りをかけた陣取り合戦が激しさを増している。
「これまで数千億円の買収案件はあったが、一段ギアを上げてきた」。野村証券の藤原悟史アナリストは、サントリーHDによる今回の買収劇を、業界全体の海外シフトに向けた一里塚ととらえる。
農林水産省によると、食品の国内市場は、2009年時点の58兆円から20年には67兆円と約1.2倍の拡大を見込む。だが、少子高齢化による人口減少で、長期的には市場縮小は不可避。一方、同期間の海外市場は、340兆円から680兆円と倍増の見通しで、アジアは3倍の成長率と試算される。