味の素は21日、2016年度の営業利益で910億円(13年度見込み比47%増)を目指す新年度からの経営3カ年計画を発表した。強いASEAN(東南アジア諸国連合)地域を中心に食品事業を拡大、独自のバイオ技術を活用した再生医療関連の素材にも注力する。一方で、競争激化で収益力が低迷する飼料用アミノ酸事業を建て直す。
伊藤雅俊社長は「全事業でスペシャリティを追求し、利益の質を高める」と述べた。
中計は、2020年度までの食品メーカー世界トップ10入りを照準に、各事業の成長加速を図る内容。3カ年で70億円のコスト削減も図り、16年度の営業利益率は2ポイント増の8%まで高める。
成長の牽引役となる海外事業は、主要戦略としてインドネシアやベトナム、ブラジルなどの重点5カ国で冷凍食品やローカル調味料などの新規分野に参入し、事業規模を拡大。同時に、周辺国への展開を加速させる。
また再生医療への活用が期待されるiPS細胞(人工多能性幹細胞)用の培養液をはじめ、バイオ技術を活用した医薬・健康分野の新事業を確立する。
一方、例年100億円超の営業利益を出していた家畜飼料用アミノ酸は中国や韓国メーカーとの競争激化で価格が下落し、13年度は利益がなくなる見込み。今後は水産やペットなどに特化した独自商品に注力し、汎用品に依存しない利益構造を目指す。