◆主婦仲間がサポート
幼稚園に通う娘のバッグを手作りして持たせたところ、保護者から作ってほしいと頼まれるほどの評判に。「この商品を事業化して世に出さなければいけない」と2010年11月に起業する。しかし翌年3月に東日本大震災が発生。社会全体の自粛ムードによって、早くも壁にぶつかった。
「販路が開拓できず在庫もたまり、すぐに資金難になった」と創業当初の苦労を振り返る。震災から1年ほどたったころ、福島県から東京都三鷹市に移り住んだ近所の主婦仲間を通じて、福島の幼稚園に子供用バッグの在庫80個を寄付することにした。
事業がうまくいかず失意にあったが、被災地の子供たちの気持ちが明るくなるようにとの願いを込めた。「『子供たちが喜んでいる』『事業化は大変だけどがんばって』とお礼の手紙をもらい逆に励まされた」と振り返る。
困難な時期を救ってくれたのは、近所の主婦仲間だった。今は子育て中だが商品デザインに従事していた人や、大手アパレルのプロモーションを行っていた人が、デザイン案を出したり、バッグ業界の関係者を紹介した。周囲が自らのスキルを注ぎ込むように「一緒にコアルーバッグを育ててくれた」のだ。
やがて伊勢丹のバイヤーからも注目され、昨年9月から一部の店舗で販売されるようになる。大手家電量販店は専用コーナーを設置。テレビショッピングで紹介されると、20分で700個が完売した。
また、ビジネスモデルが認められ、日本政策投資銀行が女性起業家を対象とする顕彰制度では、13年のファイナリストに選ばれた。