消費税増税に向けてメニュー改定の相談をする有間賀寿夫代表(左)とキリンビールマーケティングの野口洋平さん=東京都新宿区【拡大】
■トータルで3%
「大半は10円上げるが、ミネラルウオーターは据え置いて、全体で3%に調整するつもりだ」
清涼飲料大手のアサヒ飲料の本山和夫社長は3日、消費税率引き上げに伴う自動販売機での商品価格について明らかにした。ダイドードリンコも決算会見で同様の意向を示した。
またサントリー食品インターナショナルもこの日、自販機で販売する大半の商品を10円引き上げ、商品全体で約3%分を転嫁すると発表し、飲料大手の値上げ方針が出そろった。サントリーは緑茶飲料「伊右衛門」など500ミリリットル入り製品を160円とする一方、ミネラルウオーター「サントリー天然水」(550ミリリットル入り)は110円に据え置くという。
先月末に同様の発表を行ったコカ・コーラグループは「全体で3%に近づけるための措置。収益やシェアなどの影響に鑑みた」(コカ・コーラウエストの吉松民雄社長)と説明した。
税率引き上げ分の3%を一律に価格転嫁できれば問題は少ない。だが、端数の処理に制約がある場合など全額転嫁は難しいケースもある。利幅を削って消費税増税分を補うか、内容量削減などで原価を低減するか。それぞれ経営への影響は異なり、価格改定の判断を難しくしている。
■あえて値下げ
こうした中で、あえて値下げに挑む業界もある。ゼンショーホールディングスが展開する牛丼チェーン「すき家」は、4月1日から並盛りの価格を10円引き下げ、270円にすると発表した。看板商品の割安感を打ち出すことで「消費税増税でさらに低価格商品のニーズが高まり、客が増える」とのシナリオを描く。
ライバルの吉野家ホールディングスの安部修仁会長は「安値を競うより、メニューの付加価値を高めて価格に反映すべきだ」と述べ、低価格化競争からの脱却を示唆していた。すき家はあえて値下げし、差別化を図る狙いだ。
こうした動きは、ライバルの価格設定にも影響を与える。吉野家や松屋も今後対策を急ぐ見通しだ。消費税率引き上げは、企業に新たな価格戦略のあり方を問いかけている。