記者会見する三越伊勢丹ホールディングス(左)とJR西日本の幹部。JR大阪三越伊勢丹は3年足らずで事実上撤退する(コラージュ)【拡大】
在京百貨店の関係者は「ファッションに強い伊勢丹といえども、王者の東京と同じ交渉をしていては、大阪でうまくいくはずがなかった」と指摘する。
実際、開業前の店舗誘致の段階から、JR大阪三越伊勢丹が目を付けるような婦人服アパレルの売れ筋は、すでにほかの百貨店に押さえられていた。競合する既存3店も、同時期に増床や立て替えを進めており、「際どい誘致交渉もあった」(関係者)という。JR大阪三越伊勢丹は包囲網を切り崩すだけのブランド力を発揮できなかった。
その弊害は、業績に顕著に表れた。JR大阪三越伊勢丹は阪神百貨店梅田本店と売り場面積がほぼ変わらないが、売上高(平成24年度ベース)は3分1程度にとどまった。
ある小売り関係者は冷ややかに振り返った。
「阪急や大丸に入居しているのに、わざわざ商品を出すメリットはなかった」
戦略にも誤算
敗因はJR大阪三越伊勢丹の内部にも潜んでいた。