記者会見する三越伊勢丹ホールディングス(左)とJR西日本の幹部。JR大阪三越伊勢丹は3年足らずで事実上撤退する(コラージュ)【拡大】
担当者は「今後はフルラインの総合百貨店だけではなく、マーケットに応じた出店形態に変えていく」と業態転換の意義を強調する。三越伊勢丹HDが新たな成長戦略として打ち出すのが、中小型店による顧客接点の拡大だ。
その第一弾として三越伊勢丹HDは、27年に初の中型店を名古屋市に出店する。すでに化粧品に特化した「イセタンミラー」や紳士雑貨の「イセタン羽田ストア」といった小型店を外部展開しており、中小型店の出店で30年度に25年度比20億円以上の増益を目標としている。大阪も改装後は食品とファッションに特化する考えで「今後、展開する中規模店の試金石」(同社)と位置づけた。
売り場面積の縮小により店舗の賃料が下がるため、JR大阪三越伊勢丹はこれまでに比べ利益を出しやすくなるメリットもある。失敗を糧に、新たな成長の糧をつかめるか。“東の王者”は新たな復活戦に挑む。(中村智隆、松岡朋枝)