記者会見する三越伊勢丹ホールディングス(左)とJR西日本の幹部。JR大阪三越伊勢丹は3年足らずで事実上撤退する(コラージュ)【拡大】
大阪とは異なり、活況な伊勢丹新宿本店。ファッションブランドごとの縦割りの展示ではなく、ジャケットやパンツなどを品目別に並べてることで、商品を比較しやすくしている。洋服に関心の高い女性をターゲットにした百貨店としては、斬新な売り場だ。
大阪でも東京の手法を取り入れ「伊勢丹らしさ」を打ち出したが、一方で旧三越大阪店が顧客としていた60~70歳の富裕層向けの呉服や絵画などの美術品も手厚く展開した。「ファッションの伊勢丹と芸術や文化の三越。両のれんの強みを生かす」(同社)というもくろみが、逆にミスマッチを浮き立たせた。
商品力が高まらず、客足が遠のき、開業以来の営業赤字が続く-という悪循環は、三越伊勢丹の看板を曇らせるばかりだった。
規模縮小で復活戦へ
大阪進出からわずか3年で事実上の敗北宣言。しかし、「転んでもタダでは起きぬ」とばかりに三越伊勢丹HDは新たな戦略を練る。同社がJR西の意見を踏まえてまとめた再建策の柱は、売り場面積を6割減らし、自らがテナントになることだった。