トヨタ自動車の平成26年春闘の労使交渉は、ベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分を労働組合員平均で月額2700円とすることで、事実上決着したことが10日わかった。労組側は4千円を求めていたが、業績の回復やデフレ脱却を目指す安倍晋三政権の賃上げ要請を踏まえ、直近にベアを実施した20年の1千円を大幅に上回る額とする。一方、スズキは今春闘でベアを見送る方針を固めた。
トヨタのベア実施は6年ぶり。春闘相場をリードするトヨタの労使交渉に注目が集まっていたが、満額回答は見送られることになった。ただ、労組側が定期昇給と分けて要求を始めた14年以降の妥結額は18~20年の各千円で、今回は大幅に高い水準となる。
トヨタは新たな退職金制度の導入に伴い、4月以降に月給から積立金として2750円が天引きされる。今回のベア容認でこの負担がほぼ穴埋めされることになる。
ベアとあわせて組合側が求めた制度維持分(定期昇給に相当)の月7300円や、年間一時金6・8カ月分は満額回答する方針だ。12日に正式回答する。
また、ホンダも同じく6年ぶりのベア実施に向け詰めの交渉に入っているが、労組側が求めた月3500円の満額回答は見送る見通しとなった。
一方、スズキは今春闘でのベアを断念する。足元の業績は軽自動車の販売増や円安効果で好調だが、27年4月から実施される軽自動車増税などを踏まえ、「中長期的に見てベアに耐える体力がない」(同社関係者)と判断した。11日に労組に提示する。
労組側はベアとあわせて5・5カ月分の年間一時金を要求しており、スズキ幹部は「アベノミクスには一時金で貢献する。金額は決算の見通しで判断したい」と話している。