川崎市は、さらなる産業活性化を図るためキングスカイフロントと臨海部の企業との連携も推進する。川崎市の臨海部は京浜工業地帯として100年の歴史を重ねる素材産業の集積地であり、高度な化学技術を有している。キングスカイフロントのテーマ「最先端の医療、環境分野の研究開発」は、京浜工業地帯が持つ高い化学技術や知識が応用できるという判断に基づいている。一方、臨海部の企業にも企業間連携や産学連携の意識が根付いている。臨海部では、1990年代後半から生産の効率化を図るため、企業を超えて資源を循環させる「スマートコンビナート化」に力を入れてきた。発電に使用した蒸気を近隣企業で再利用する事業や、パイプラインを融通しあい水素を共有する事業はその一例。鈴木室長は「世界を見ればキングスカイフロントよりも規模の大きい研究拠点はたくさんあるが、川崎には素材産業の広い裾野とものづくりの風土がある。さらに東京という巨大な市場も目の前だ。総合力と地区全体のポテンシャル高さはどこにも負けない」と胸を張る。川崎市ではそれぞれの企業が抱えるニーズの発掘、マッチングの機会を提供して2つの地域の橋渡しを進める。