多摩川沿い北側から見たiCONの外観パース。国内外のトップ機関が集う「アンダー・ザ・ワンルーフ」体制で研究開発が進められる【拡大】
--今後の取り組みは
「高分子ミセルは治療だけでなく疾患の検出や診断にも応用できる。実際、診断チップをのせた高分子ミセルを使って病気を検出・診断する研究も進んでいる。将来的には体内を自立巡回し、診断して治療する高分子ミセルもできるだろう。疾患の予兆を察知して処置してしまえば、意識することなく常に健康な状態でいられる。まさに『体内病院』となる可能性を秘めている」
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【プロフィル】片岡一則
かたおか・かずのり 1979年東京大学大学院工学系研究科合成化学専攻博士課程修了。同年東京女子医科大学助手。89年から就任した東京理科大学基礎工学部助教授時代に「薬を運ぶ人工ウイルス」をテーマにした論文を発表し、世界から注目を浴びる。以来ナノ医療技術の研究をすすめ、98年より東京大学大学院工学系研究科教授、2004年より東京大学大学院医学系研究科教授を併任。15年「ものづくりナノ医療イノベーションセンター(iCON)」の研究リーダーに就任予定。63歳。東京都出身。