「カーボンは、高級品から普及品まである製品群ピラミッドの頂点に立つ素材です。それが少しずつ下に降りてきたイメージでしょうか。特殊な産業機械や風力発電の風車の羽などにも使われています」と安藤伸哉社長は、用途が広がるカーボン成形品の状況を説明する。
これまで同社が扱ってきた製品は、ボブスレー、競技用車いす、アタッシェケース、サングラス、ヘルメット、タイヤホィールなど多種多様な製品で数えきれない。それだけ何でも作れる。開発、設計から試作、量産まで一貫して社内で取り組める体制が可能にしている。
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■高まる量産化ニーズへの対応
東レ・カーボンマジックは、市場から高く評価されていた童夢カーボンマジックの設計技術力、試作提案力、高精度の生産技術を引き継いで昨年4月に設立された。東レが拡大を目指す炭素繊維複合材料事業の一役を担う位置づけだ。
製造工程は、設計に基づき型の製作、カーボンシートのカッティング、積層をした後にオートクレーブという大きな窯で熱と圧力をかけて硬化させる。同社の得意技はカーボン素材を最適なバランスで使用する総合的な設計技術だ。
用途に応じた製品に対し最適化された型を考案できることは誇れる技術力。カーボンコンポジット製品の強度解析までも自社で行えるのは、レーシングカーで培った技術なのだろう。この強みを生かし、より利用拡大につなげるために必要とされるのが量産化となる。
「同じものを数多く作り上げる取り組みは、すでに始まっています。発注ロットは多くはありませんが、新幹線のシートは量産化の一つです。これはタイの生産子会社で製造し、日本で全品を厳密に検査して出荷しています」(安藤社長)と語る。