本格志向が高まる一方、缶コーヒー市場は伸び悩みが続く。飲料各社は、トクホ(特定保健用食品)コーヒーなどの新機軸によって需要を掘り起こそうと懸命だ。
これに対し「ヨーロピアン」の刷新では、「第3の波に対応してクオリティを高め、缶コーヒーのイメージ自体を一新させる」(島岡さん)ことを目指した。コーヒーファンの支持が高い「猿田彦珈琲」店主の大塚朝之氏に協力を求めたのも「大量生産の対極にある個人店のこだわりに学び、従来できなかったことに挑むため」(島岡さん)だ。
大塚氏は「コーヒー好きに納得してもらえる『心地よさ』を目指し、むちゃな要望を開発陣にたくさん伝えた」と振り返る。
最大のテーマは、缶コーヒーにありがちな「イガイガ」した味を取り除いて、店で提供している透き通るようなクリアさを再現することだった。そのために開発陣が取り組んだ製法の改良点は、大きく分けて3つある。
まずグレードの高いコーヒー豆だけを選んで粉砕した上で、抽出する前に雑味の原因となる微粉を取り除く。やや浅煎りにすることで、豆の個性を引き出す工夫も加えた。
また抽出するお湯は90度弱と、従来より低い温度に抑えた。「高温だと香りのキックが強くなり、低温だと丸く薄くなる。そのバランスを何度も微調整した」(大塚氏)という。
さらに、抽出液も全量は使わない。雑味が出やすい最後の一定量を惜しみなく捨てることにした。いずれの工夫も、従来の缶コーヒー作りの常識を度外視した取り組みだ。