「わが社では、役職に関わらず社員が必要とする情報端末を配布している。たとえば、管理職や成果物のレビューを担当する者には、スマートフォンやタブレットを配布し、プロジェクトマネージャや在宅勤務者などには、パソコンを配布している。また、独自のビジネスプロセスコラボレーションのためのマッピングシステムを運用している。このマップに位置情報と連携したデータベースを構築し、地図上の旗をクリックすると、関連する情報にどこからでもアクセスできるようになっている。この他にも、プロジェクト情報の完全なデジタル化を達成し、業務フローの可視化も実践している。これまではホワイトカラーの生産性を向上させるために、どのように取り組めばいいのかを研究し実践してきた。その中で、ABC/ABM分析をもとに、全社員のアクティビティの可視化と生産性の定量化を自社で開発したシステムで実現している。このシステムは、各自がプロジェクトコストと進捗状況の予実モニタリングツールとして活用するだけではなく、個人の負荷状況を把握して平準化やサービス品質の向上に活かしたり、行動データを分析して個人の生産性の改善などにも利用している」と坂田氏は自社システムの活用事例について触れる。
これまでの取り組みを通して、坂田氏はテレワークを有効に活用するために解決しなければならない課題を以下のように分析する。
「まずは、経営者が情報を可視化する覚悟をもつこと、デジタル化の徹底に向けた会社全体の意識改革が大切。利便性とセキュリティの見極めも必要だ。テレワークは働く人のためのものであり、それに伴う組織マネジメントや人事評価、就業規則とその運用など、基盤整備が重要になる」