≪インタビュー≫
□石川寛社長
■ホテルや百貨店からPB開発依頼
--現在扱っているのはどんなジャムなのか
「ジャムはフランス人から指導を受け、それを踏襲してきた。ただ、品種改良を重ねた日本の果物はフランスのものより甘みが強い半面、(酸味など)本来の風味が落ちている。その欠点を独自の伝統的な技術で補っている」
--伝統的な技術とは
「たとえば、イチゴジャムなら、最初にイチゴを砂糖に漬けて水分を出すことで、風味ができるだけ逃げないようにしている。漬物の伝統的な製法。通常のジャムのつくり方でイチゴを鍋にかけると、風味も水とともに飛んでしまう」
--国内で一般的なジャムとの違いは
「日本のジャムは糖度40度以上。欧州は60度以上、米国は65度以上だが、(ジャムの糖度には)甘みだけでなく風味などいろいろな味が含まれるので、実際はそんなに甘く感じない。日本の多くのジャムは甘いだけなので糖度を上げられず、逆につまらない味になっている」
--最近はどんな商品展開をしているのか
「昨年ごろから、ホテルや百貨店などから依頼を受けて、相手先のPB(プライベートブランド)を開発するケースがどんどん増えている。高級商品として差別化したいという要望が強い。先人が知恵を重ねてきた製法を取り入れることで、少しでも高い付加価値をつけたい」
--具体的な商品開発のポイントは
「日本では『ジャムにならない』とされる果物でも、違う製法をとればおいしく食べられる。たとえば、ヤマモモのように小さくて果肉がほとんどないものには、果汁だけでつくるジェリーが適している。商品化には高い技術レベルや良質な原材料が必要だが、積極的にチャレンジしていきたい」
◇