□幼児2人同乗電動自転車「PAS」
■小さな力でもスムーズに発進
各都道府県の交通規則が改正された2009年以降、幼児2人を同乗させている自転車を良く目にするようになった。中でも、電動アシスト自転車は、子供2人を乗せても楽に走れる快適さで人気を集めている。世界初の電動アシスト自転車「PAS」を発売以来、20年を超える歴史を持つヤマハ発動機に詳しい話を聞いた。
◆「規則の強制では解決にならず」
幼児を同乗させるとハンドルがぶれやすくなり、特に、前輪にも幼児座席を取り付けて幼児を2人同乗させた場合は走行安定性の低下が著しい。このため09年の交通規則改正以前は、2つの幼児座席を取り付けた状態での幼児2人同乗は禁止されていた。
しかし、2人いる幼児の片方を一人、家に残して外出することは難しく、幼稚園や保育所への送り迎えをはじめ、自転車を利用する子育て世代では、やむを得ず幼児2人を自転車に同乗させることが日常的に行われていた。この現状に対して、規則順守を強制するだけでは解決にはならないという考え方に立って、安全性に配慮した要件を示し、その要件に適合する自転車には幼児2人同乗を認めようというのが09年の規則改正だった。
強度やブレーキ性能などに関して示された幼児2人同乗用自転車の基準には、発進時の安定性が確保されていることも含まれている。ハンドルがふらつきやすい発進時には、小さな踏み込み力でスムーズに走り出す性能が欠かせない。この条件として、通常の自転車では「ペダルを1回転させたときに進む距離が4.3メートル以下に抑えられる機能を有すること」、もしくは「電動アシスト自転車であること」とされている。