《十数隻を引き取り、原価割れで定期用船に出したが、赤字が膨らんだ。その後、借金を返済できたのは10年後だった》
「いわば『小さな船会社』を始めたということだ。担保割れの分は財務からお金を借り、船員を雇い、燃料は燃料部から調達し、社内を走り回って木材や穀物など貨物をかき集めた。船舶事業が好転するまで我慢してくれるのか不安もあったが、待ってくれる土壌にあったことは非常にありがたかった。苦労して10年くらいで負債は返し、次の悪い波の時は自社保有が良い結果になり、それが実は今の船舶事業につながっている」
《危機を契機に資金調達機能から事業投資へとモデルを変えた船舶事業。昨秋の説明会で、成長分野に位置づけ、保有船を今の45隻から2020年に100隻に倍増させると打ち上げた》
「船舶事業もそうだが、変動幅が高いものは、安く買って高く売るのが基本。だが、その通りにやれるプロはいない。所帯が大きくそれだけの資本力があれば、毎年コンスタントに買っていくことがいいと教訓になった」
《1980年に31歳でロンドン駐在に。イタリアの船会社オーナーの元に足しげく通い、大型注文を相次ぎとり、顧客重視の原点を築いた》
「通常の商売で相手の信頼を得るのはわりと簡単。一生懸命やればいい。お客やパートナーとの絆が一番深まるのは危機のとき。そのときにどういう行動をとったかが、後々まで心に残るし、長期的な信頼につながる」