25日に発表された全国の先行指標とされる4月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は、消費税率引き上げの影響として、日銀が試算する1・7ポイント分を除けば前年同月比1・0%の上昇と、3月と同水準だった。増税分がそのまま物価に反映され、駆け込み需要の反動も影響は限定的だった。ただ、物価上昇に所得の増加が追いつかなければ、今後は消費が冷え込む懸念もくすぶる。
「衣料品など夏物の売れ行きがいい」。松屋銀座の古屋毅彦本店長は、増税後も消費者心理が強いことに手応えを感じている。
4月の東京都区部の物価は婦人スーツ(春夏物)が前年同月比で8・6%上昇。ワンピース(同)も6・4%上昇した。いずれも3月はマイナスだったが、4月にプラスに転じるなど個人消費の堅調さが物価を押し上げている。
テレビも4月は10・1%のプラスに転じた。調査会社BCNの森英二アナリストは、家電量販店の業績悪化を背景に「最近は無理な値下げをしていない」と指摘する。
増税を機に転嫁しきれなかったコスト分を含め、値上げする動きも出てきた。
牛丼チェーン「吉野家」は原材料価格の高騰を踏まえ、4月から「牛丼並盛」を増税分以上の20円値上げし、300円とした。4月の牛丼の物価はマイナス5・2%(3月はマイナス12・7%)だが、大手牛丼チェーンの横並び価格が崩れ、前月に比べ下落幅が大きく縮小した。
大手化学メーカーが今年1月に原料の合成樹脂を値上げしたポリ袋も、増税分を上回り5・9%上昇した。日用品の価格上昇も目立ち、洗濯用洗剤が9・5%、トイレットペーパーは8・9%上昇した。
一方、駆け込み需要の反動で一部に値下がりした品目もある。ビデオカメラは36・6%の下落。また、エアコンは8・4%上昇したものの、上昇率は前月に比べ19・3ポイントも低下。駆け込みの反動などで商品が売れなくなり、値下げ競争が激化したものとみられる。
総務省によれば、2月の勤労者世帯の実収入は物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1・3%の減少。5カ月連続のマイナスで、物価上昇に所得の増加が追いついていない状況だ。今春闘で大企業を中心にベースアップが相次いだが、賃上げの裾野が広がらなければ、脱デフレの障害になりかねない。