森岡氏が入社後すぐに出会ったのが、米ユニバーサル・オーランド・リゾート(フロリダ州)で開業したばかりの「ハリポタ」エリアだ。アトラクションを体験したとき、隣の少女が感動のあまり号泣する姿に衝撃を受けた。「関西以外から客を呼び込む切り札」と直感した。
「絶対に許さない」。新エリア導入を提案した森岡氏に、ガンペル氏はこう言い放った。それも当然だった。USJの年間売り上げ規模の800億円超に対し、投資額は450億円。無謀にみえるのはしかたがない。
それでも直感は揺るがなかった。原作本や映画が世界的にヒットした「ハリポタ」だが、注目したのはむしろ日本での人気だ。映画全8作の観客動員数は延べ7800万人。本はベストセラー作品に名を連ねる。
リアルタイムで楽しんだ世代が親になって子供に本を読ませ、DVDなどを一緒に見るため「経年劣化しにくい」(森岡氏)のだ。
名作「E.T.」のアトラクションでさえ、原作本などはなく、次第に感動が薄れて開業10年を待たずして姿を消した。それだけに、すぐに劣化する半端な映画アトラクションをいくつもつくるより投資回収は効率的と判断した。