消費税が8%になったことで釣り銭が端数となる機会が増えた。財布からあふれ出しそうな硬貨に難儀している人も多いはずだ。まもなくクレジット、プリペイド、ポイントカードの特長を兼ね備えた新しい電子マネーが登場する。欧米に比べて遅れているとされるキャッシュレス社会が到来する機運は盛り上がるのか。国内外のカード事情に詳しい消費生活評論家の岩田昭男氏に話を聞いた。
日本はカード後進国?
「米国にはPain of payment(ペイン・オブ・ペイメント)という言葉がある。現金払いによる苦痛。日本人にはない感覚だ。日本人は逆にカード払いを怖がる。クレジットカードが流行らなかった理由はまさにそれ」
岩田氏によれば、国内のクレジットカード利用率は欧米の半数程度の十数%にとどまる。借金を嫌い現金での支払いを好む国民性がその原因と指摘する。欧米では一般的となったオンラインで口座から代金を引き落とすデビットカードですら日本の利用率は2~3%にとどまるという。
日本の電子マネーはsuicaなど交通系とnanacoなど流通系が牽引。とくに交通系カードにチャージして電車やバスをキャッシュレスで乗り継ぐ姿はすっかり日常化した。しかし、導入費や維持費など店舗側の負担が大きかったり、カードに内蔵される非接触型ICがFelicaから国際標準となるNFCへの切り替えが進まないこともあり、使用できる店舗はまだまだ駅周辺などに集まっている。