金融政策決定会合後、記者会見する日銀の黒田総裁=21日午後、日銀本店【拡大】
日銀の黒田東彦総裁は21日、金融政策決定会合後に会見し、4月の消費税増税後の国内景気について「個人消費の基調的な堅調さは維持されている」と述べ、脱デフレに向けて順調な道筋をたどっているとの認識を示した。また、円安・株高傾向に変化はないとの強気の見方も明らかにした。ただ「2%の物価安定目標は道半ば」と説明し、上下双方向のリスクを点検し、必要な調整を行う考えも改めて強調した。
黒田総裁は、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動で4~6月期の経済成長は落ち込むものの、「反動減は想定の範囲内」とし、夏以降は成長経路に戻るとの考えを示した。決定会合後の公表文では、先月まで盛り込んでいた「15年近く続いたデフレからの脱却に導く」との文言を削除した。
脱デフレに向け黒田総裁の自信の背景にあるのが「雇用・所得環境の明確な改善」だ。3月の有効求人倍率は1.07倍と16カ月連続で改善、2007年6月以来、6年9カ月ぶりの高水準。白井さゆり審議委員は先月の決定会合まで、リスク要因として「国内の雇用・所得環境の改善ペースにも言及すべきだ」と提案していたが、今回はこれを取り下げた。
もっとも雇用・所得環境が改善され、賃上げが広がる一方、建設業や飲食業など一部業種では「隠れていた人手不足問題が顕在化してきた」(黒田総裁)。人手不足は賃上げを通じ、物価上昇につながるものの、経済成長を下押しする懸念もある。