【ITビジネス最前線】SNS業界、プライバシー重視に転換 (2/4ページ)

2014.5.27 05:00

SNSアプリの「Wickr」のデモ画面。送信する写真やメッセージが自動消滅する時間を設定できるほか、送信内容が暗号化される(伊藤穣一撮影)

SNSアプリの「Wickr」のデモ画面。送信する写真やメッセージが自動消滅する時間を設定できるほか、送信内容が暗号化される(伊藤穣一撮影)【拡大】

 ◆データ蓄積もなし

 プライベート空間でのメッセージアプリに投資が集まる最近の傾向は、「セキュリティー」や「プライバシー」が投資業界ではやり言葉になっていることを示している。この好機を利用しようと、今月、ニューヨークで新しいアプリ(応用ソフト)「Voycee」(ヴォイシー)の提供が始まった。

 ヴォイシーはモバイルで利用できるソーシャルネットワークアプリで、履歴を残さないSNSとして売り込みを始めている。まだアップルの基本ソフト「iOS」でしか利用できないが、新しい近況や写真、動画、音声を投稿するたびに、前回投稿した内容がすぐさま消滅するというユニークなサービスだ。ユーザーをフォローする人は、ユーザーの新しい投稿内容を閲覧し、コメントを残すこともできるが、それも次にユーザーが何かを投稿すれば一緒に消えてしまう。

 ヴォイシーが強調するのは、投稿されたデータが一度アプリから消えてしまうと、それは表面上見えなくなるだけでなく、ヴォイシーのコンピューターから一切消えるという点だ。つまり、ヴォイシーはユーザーの個人的な情報を広告に利用するために、データを蓄積したり、掘り起こしたりしない。

 ◆収益方法が課題に

 ユーザーについて、ほんのわずかか、あるいはまったく情報を持たないなかで有効な広告を打つことはかなり難しい。ユーザーの最新の投稿以外に、ユーザーが何を好み、何を好まないかという情報がないのだから。これは、既存のSNSが収益を上げてきた方法から見ると、劇的な方向転換ということになる。

 フェイスブックやツイッターをはじめとする多くのSNSがユーザーの個人情報を収集し、そのデータを使って、広告スペースを販売している。また、集めた情報自体をデータの仲買人に買い取ってもらうサイトもある。こうしたデータを、仲買人はまとめ直して他の企業に転売する。

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