スズキ「ハスラー」と第一カーラインチーフエンジニアの高橋正志さん【拡大】
「ワクワク感」前面に
まずこだわったのは一目で分かる「スズキらしさ」。丸っこく特徴的なヘッドランプはジムニー、フェンダー(泥よけ)やテールランプはエスクードといった具合に、同社を代表するSUVのデザインをちりばめた。社内コンペではもっと角張ったデザインも候補に挙がったが、最終的には「パッと見で、なんとなくスズキっぽい」という個性的な顔が採用された。
オレンジ、ピンク、ブルーというボディーの鮮やかな色合いも魅力を引き立てた。特にピンクは「ワクワクする車を作るなら色も思い切ってやれ」とハッパを掛けた田村実副社長(国内営業担当)一押しの色。昨年開催の東京モーターショーでは、女子大生から絶賛された。
「遊び心」をくすぐる装備やアクセサリーには、デザインと同様にこだわった。
「荷室を見せてくれませんか?」。開発チームは市場調査のため、キャンプ場の利用者や渓流釣り、サーフィン、公園で犬の散歩をする人など、軽自動車で遊びに出かけている人を見つけては突撃取材を繰り返した。アシストグリップ(壁面の取っ手)にひもを通して釣りざおをぶらさげるのは序の口で、中には車体の壁に穴を開けサーフボードをくくりつけた猛者の姿が印象に残った。ユーザーの創意工夫は、アウトドア好きが集まった開発チームの心に火を付けたのだ。