企業業績の改善で、大手を中心に前年に比べて支給額が増える夏のボーナスを狙い、銀行の資金獲得競争が始まった。銀行のボーナス商戦といえば定期預金の金利優遇が恒例だが、今年は「少額投資非課税制度(NISA)元年」ということもあり、投資信託の購入を促すキャンペーンなど、投資喚起に力を入れる動きが目立つ。
三菱東京UFJ銀行は、投信と外貨預金を対象とした資産運用キャンペーンを始めた。インターネットで新規に口座を開設して1万円以上取引するか、投信と外貨預金を合計で20万円取引すれば抽選で50人に1人の割合で1万円をプレゼントする。
りそな銀行は、新たに銀行に預けた資金を使って店頭で対象の投信を購入すると100万円ごとに1万円、新たな資金ではなくても投信を新規購入して累計額が100万円以上になれば3千円をキャッシュバックするキャンペーンを開始した。
大手銀のNISAの口座は開設しただけで使われていないケースが多い。3月末までに三菱東京UFJ銀は18万件、りそな銀(グループ3行合算)は10万5000件と順調に口座獲得数を拡大している。だが、投信売買の稼働率は2~3割にとどまっており、ボーナス支給に合わせた投信販売のテコ入れには稼働率を引き上げたいとの思惑もあるようだ。
一方、新規参入銀行は円定期預金や外貨預金で優遇金利を打ち出すなど、例年通り預金残高の拡大に力を入れる。ただ、イオン銀行は投信と定期預金を総額50万円以上申し込むと投信の購入比率に応じて定期預金の金利を高くするキャンペーンを開始。ソニー銀行も外国債券で運用するファンド7本を追加し、住信SBIネット銀行は対象投信購入者へのキャッシュバックを始めるなど、NISA対応にもぬかりはない。
NISAは、年間100万円まで株式や投信への投資で得た利益に対する課税が5年間免除される優遇制度で1月に始まった。
各行とも夏のボーナスを足がかりに、貯蓄から投資への動きを広げようとしている。