日銀が11日発表した5月の国内企業物価指数(平成22年平均=100、速報)は、消費税率引き上げの影響を除いて前年同月比1・6%上昇の103・2となり、伸び幅は4月(1・5%)から拡大した。増税による需要減でも、企業は値下げに走らず、デフレ時との違いが明確になった。ただ、4~6月期の法人企業景気予測調査は、大企業全産業の景況判断指数がマイナス14・6と、大幅に悪化しており、物価上昇が続くかは予断を許さない。
消費税の影響を含めた5月の国内企業物価指数は106・1と14カ月連続で前年を上回った。電気料金の値上がりが企業物価を引き上げたが、増税の影響を除いても、建設資材や食料・飲料などの幅広い品目が上昇した。
企業物価を構成する全品目から輸入品だけを取り出した輸入物価指数は、円ベースでプラス0・7%だった。昨年春以降、円安が進み円換算の価格が上がったため、輸入物価はプラス10%台の伸び率で推移していたが、5月になって“円安効果”の大半が消えたことになる。
市場では「物価上昇の主因は円安」との見方もあった。日銀は5月も企業物価が上昇したことについて「需給の引き締まりで価格が落ちにくくなったため」(物価統計課)と分析。増税による駆け込み需要の反動減を受けても「価格を下げようという話は聞かれない」(同)という。