割安さに加えて「多様化する生活ニーズに応じやすい」(大京リアルドの細井誠・事業推進部担当部長)のが人気の理由。駅に近いなど利便性の高い物件が多く、子供の独立に合わせて都心に引っ越したり、同じマンション内で住み替えるといった要望に対応しやすいという。
リノベーションを施した物件の魅力は、最新の設備機器や内装が整う新築同様の住戸を周辺の新築相場を下回る価格で入手できる点だ。「積極的に供給すれば、潜在需要をさらに掘り起こすことができる」。そんな思惑が事業者を動かしている。
建築費の上昇も事業を後押ししている。人手不足で賃金がアップしている型枠工や鉄筋工などはリノベーション工事では不要。コストを抑えられ、新築より安定した収益が見込める。
高級感や耐震性強化
参入各社は事業の強化を急ぐ。コスモスイニシアは既存の賃貸マンション全体を大規模改修した「リノマークス目黒本町」(東京都目黒区)を6月に発売。廊下と一体となった空間プランなど高級感を前面に押し出した。長谷工コーポレーショングループも、1棟全てを対象にリノベーションを行う事業に参入し、新ブランド「RENEO(リネオ)」を立ち上げた。