また、ミキサーのスイッチの近くには砂時計を置いた。時計の文字盤を読めなくても、砂時計を使えば一定の時間を計ることができる。不良品を選別するオリジナルの検査道具も開発した。障害者の働きやすい環境を作るため、さまざまな工夫が凝らされている。
「人間は、働いて社会で役に立つことで幸せを感じる。障害者の幸せをかなえられるような会社で頑張ろうと考えてきた」とほほ笑み、大山会長はこう意気込んだ。「理化学は、チョークを作ることで皆が働く“皆働社会”を実現したい」(小林佳恵)
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【会社概要】日本理化学工業
▽本社=川崎市高津区久地2-15-10 ((電)044・811・4121)
▽創業=1937年2月
▽資本金=2000万円
▽従業員=81人
▽売上高=6億3000万円
▽事業内容=文具・事務用品の製造販売、プラスチック部品成形加工、ハンガーリサイクル
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≪インタビュー≫
□大山泰弘会長
■理解力、能力に応じて段取り
--生産ラインの随所に障害者を働きやすくする工夫がある
「障害者雇用を始めて3~4年後、禅のお坊さんに『施設で生活していた方がずっと楽では。障害者はなぜ毎日会社に来るのでしょうか』と尋ねたことがあった。そうしたら言われたのが、『人間の究極の幸せは4つです。1つは愛されること、2つ目は褒められること、3つ目は人の役に立つこと、4つ目は人に必要とされることなんですよ。企業が人間を幸せにするんです』。それまでは仕事を覚えさせることに一生懸命だったけれど、その人の理解力、能力に応じて仕事ができる段取りを考えようと思った」