コストの壁
ただ、価格面などで国産生薬の普及へのハードルは高い。一般的な流通市場がない生薬は漢方薬メーカーが農家らと「全量(買い取り)契約」を結ぶケースが多い。経済発展で国内などの需要が膨らんだ中国産は価格が上昇傾向にあるものの、日本国内産の買い取り価格は依然、「中国産の2~3倍」(農水省)の水準。また、品種によって栽培に適した気候や土壌の違いもあり、「中国産の重要性は変わらない」(業界関係者)。
その一方、国産は国内漢方薬メーカーにとって安全を保障するトレーサビリティーの確保が比較的容易というメリットがある。また「攻めの農業」を推進する安倍晋三政権にとって「生薬は需要拡大が見込まれる数少ない作物。農家の所得向上や経営安定に役立つ」(農水省生産局)という意味合いもある。