□帝京大経済学部非常勤講師・今昌司
「ワールドカップは、砲火を交えない戦争である」。これは、元テレビ東京アナウンサー、金子勝彦氏が、FIFAワールドカップを称して使っていた言葉である。フォークランド紛争の遺恨が残る中で開催された1986年メキシコ大会では、当事国のアルゼンチンとイングランドが準々決勝で対戦。ディエゴ・マラドーナによる中盤からの5人抜きで見せたスーパーゴール、さらに「神の手」ゴールによって、イングランドはアルゼンチンに沈黙した。しかし、マラドーナのゴールを、アルゼンチンのみならず、イングランドのサポーターまでが称賛した。
世界中を熱狂させるFIFAワールドカップという世界最高峰の舞台、そしてサッカーという世界で愛されるスポーツの魅力が、戦争の遺恨さえも封じ込めたのである。ただ、世界中を熱狂させる世界最高峰の舞台であるがゆえに、大会を主催する国際サッカー連盟(FIFA)の内側には、えたいが知れぬ魑魅魍魎(ちみもうりょう)が渦巻いているとも言われている。
◆収入源と蓄財
FIFAの財務報告書によると、2013年にFIFAが得た収入は、1386億円である。テレビ放送権料が630億円、スポンサーシップ収入が413億円で、両者で収入の75%というのが内訳である。FIFAの最大の収入源は、4年に1度開催されるFIFAワールドカップであり、よって、FIFAの経営規模を図る場合は、4年ごとの財務規模を見るべきである。南アフリカ大会が開催された10年までの前回の4年間のFIFAの収入は計4189億円にも達した。