日本のサービス産業の生産性は先進国で最低レベルにあり、逆に言えば、生産性を向上させる伸び代が大きい。他方で、分散的で中小事業者が多く、事業者ごとの生産性のばらつきが大きい。したがって、優良な事業者の下に生産性の低い事業を集約させていくことによって日本経済全体の生産性を向上させることができる。この集約化を推し進めるきっかけとなるのが倒産・廃業である。
もともとサービス産業は、トレーダブルグッズ(貿易財)を取り扱う製造業と比べて、製品市場における競争が不完全であり、低生産性の企業であっても市場に残ってしまう産業構造にある。また、金融市場は長引く低金利によって機能不全を起こしている。したがって、労働市場の規律によって、倒産・集約化が進んでいく現状は、またとない好機である。
◆新陳代謝の促進必要
また、労働集約的なサービス産業は人件費削減への誘因が働きやすくブラック企業化しやすいが、人件費倒産は、付加価値が低く、低賃金で従業員を酷使する企業から起こる。結果、ここで働く従業員は、生産性が高く高賃金の優良企業へと収斂(しゅうれん)していく。
雇用の8割を占めるサービス産業の持続的な実質賃金の上昇は日本経済全体の消費、投資への好循環を生み出す。かくして、人件費倒産が増加する結果、ローカル・アベノミクスが成功するのである。
政府は、サービス産業の労働生産性の向上のためにビッグデータ活用や人材教育を掲げるが、痛みを伴う政策にも目を向けなければならない。逆に、今までの中小企業政策は、信用保証制度など低生産性の企業であっても事業を継続できる環境を整えてきた。