年間でもっともスマホが売れる年度末商戦は、各社が激しいキャッシュバック(現金還元)合戦を展開。ドコモが劣勢を強いられることが多かった顧客獲得競争だが、今年は3社がほぼ互角だった。アイフォーン発売がドコモの純増回復を牽引(けんいん)したことは確実だ。
4~6月期は年度末商戦の販促費積み増しの反動減ともいえるが、ドコモにとっては番号持ち運び制度(MNP)で携帯電話事業者を変更する利用者が減少したことも奏功した。ドコモが発表した4~6月期のMNPはマイナス9万件の転出超過だが、改善の兆しが鮮明になってきた。
06年の制度発足以来ほぼ一貫してマイナスが続き、ソフトバンクやKDDIへの顧客流出が続いているドコモのMNPプラスへの転換も視野に入ってきた。加藤薫社長は「MNPのプラスも夢ではないが、そんなに簡単でもない」と慎重な姿勢を崩さないが、ドコモのシェアは40%前半まで落ち込み3社が拮抗(きっこう)してきている。社内からは「そろそろ(MNPマイナスは)終息する時期だ。年度内には実現したい」という声も聞こえてくる。