東京電力が、経営再建の柱とする火力発電分野の包括提携で、優先交渉先に中部電力を選んだ決め手は、豊富な燃料調達力とノウハウだ。提携すれば両社が調達する液化天然ガス(LNG)は、世界最大級の4千万トン規模となり、価格交渉力は大きく高まる。両社の提携を契機に、業種や事業エリアの垣根を越えたエネルギー業界の再編が加速する可能性もある。
「少しでも安い電気を提供できるよう、成果を出していきたい」
東電の広瀬直己社長は7日、中部電の水野明久社長と同席した会見でこう強調した。福島第1原発事故で経営が悪化した東電は、政府が今年1月に認可した新総合特別事業計画(再建計画)で、平成26年度中に提携先と共同出資会社を設立し、燃料調達から発電所の建設・運営までを共同で手がける方針を掲げた。
東電は6月以降、中部電をはじめ東京ガス▽関西電力▽JXホールディングス▽大阪ガス-の5社と提携交渉を開始。東電とLNG基地を共同運営する東ガスも中部電と並ぶ有力候補とみられていた。
だが、東電は東ガスに対し、ガス製造設備も含めて共同出資会社に移管することなどを求めた。ガス事業の根幹が揺らぎかねないと懸念した東ガスは、9月に交渉撤退を決めた。
一方、中部電はLNG調達量が東電に次いで多く、火力発電事業が経営の中心を占める。東電と提携すれば、全国の電力需要の約3割を占める首都圏市場への進出にもつながると判断し、今回の合意に至った。