太田昭宏国土交通相は17日、JR東海が2027(平成39)年に東京(品川)-名古屋間の開業を目指すリニア中央新幹線の工事実施計画を認可した。これを受けJR東海は今後、沿線各地で事業内容の説明会を開くなどの取り組みを本格化させる。品川-大阪間が全線開業すれば工事費が総額9兆円超の歴史的プロジェクトが動き出す。
JR東海は8月26日に工事実施計画の認可を申請。国交省は技術面や環境面などの見地から審査をしてきた。17日の閣議後会見で太田国交相は、住民への丁寧な説明で地域の理解と協力を得ることや、環境の保全に努めること、工事を安全に行うことを同社に注文したことを明らかにした。
一方、JR東海の柘植康英社長は東京都内で記者会見し「わが国の交通政策史上に残る大きな一里塚だ。日本が誇る新たな技術の実現に向け、いよいよ夢が動き出した」と強調した。
認可を得たことで、JR東海は20日に沿線の7都県に工事管理を行う工事事務所を設置。月内にも事業説明会を開始するほか、測量や設計、用地取得、建設会社との工事契約などを順次進める。実際の土木工事の開始は年明け以降になる見通し。品川-名古屋間の工事費は5兆5235億円にのぼり、同社が全額自己負担して建設する方針だ。
一方、JR東海は名古屋-大阪間の開業時期を18年後の2045(平成57)年としているが、関西経済界や自民党の一部は品川-大阪間の全線同時開業を求めている。これについて柘植社長は会見で「品川-名古屋間は5、6年先行している。名古屋-大阪間も時間のかかる工事になり、同時開業は無理ということになろうかと思う」と述べた。