三菱重工業は20日、自動車の減速機などに用いる内歯車を高精度・低コストに加工できる新システム「三菱スーパースカイビングシステム」を開発したと発表した。加工の難しい内歯車を、独自開発のたる型多刃回転工具を用いることで量産できる点が特徴。工具のほか、加工機などを加え、システムとして提案する。2015年4月をめどに販売を開始する予定。
内歯車を加工する従来技術の「ピニオンスカイビング」技術の場合、歯車を加工する工具が消耗しやすく寿命が短いといった課題があった。
今回は、たる型の砥石(といし)を切削工具に応用し、生産性を向上したほか、多刃にすることで工具寿命を2倍にできる新工具「スーパースカイビングカッター」を独自開発。新工具に加え、切削力など正確にシミュレーションする技術や、加工機、加工ソフトウエアなどを組み合わせたシステムとして提供する。
内歯車市場は、オートマチックギア(AT)の多段化や、CT(無段変速機)の増加により、需要が増えている。ただ、加工が難しく、燃費改善効果を高める分、コストが増えるため、低コスト化や長寿命化できる技術の需要が高まっている。