◆越えるべき壁
ただ、スナップチャットにも越えるべき壁がある。フェイスブックやツイッターとは違い、ユーザーが自分好みのブランド企業をフォローすることができない。また、企業のコンテンツを友人と共有することができないため、コンテンツがウイルスのように拡散するバイラル効果を生む可能性は排除される。また、ユーザーが広告を見ることを強制されず、広告を閲覧するためにはユーザーが自発的にクリックしなければならない。このアプローチがどれほど成功するかは未知数だ。ユーザーが見たいと思えるコンテンツを広告主がどう作るかにかかっている。
恐らくスナップチャットはリーチできたユーザー数に基づいて広告料を課すのではないかと予想する。そうでなければ、スナップチャットは収益を維持するため、ユーザーに広告閲覧をどう強制するかという問題に頭を悩ませることになってしまう。短期的には収益を上げられるが、これだけでは長期的にフェイスブックやポップアップ広告付きのウェブサイトよりも良い広告媒体になるのは難しい。
広告戦略を間違えれば若く、時に気難しいユーザー層が一気に冷める方向に動く恐れがある。このユーザー層を一度失えば、取り戻すことはできない。潤沢な資金を蓄える今のスナップチャットは、ゆっくり行動しても失う物はほとんどないが、素早く動きすぎると痛い目に合う。成功のための一歩は慎重に踏み出さねばならない。
文:イジョビ・ヌウェア
訳:堀まどか
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