世界中で利用者を増やしているスマートフォン向け交流アプリ「LINE(ライン)」。人気の原動力になってきたのが、イラストを送って感情を伝えられるスタンプ機能だ。スタンプの普及で、人々の意思疎通の形はどう変わったのか-。サービスの狙いをひもときつつ、スタンプがコミュニケーションにもたらした変革を探る。(三品貴志)
言葉はいらない
LINEアプリとスタンプを開発したのは、韓国NHN(現ネイバー)傘下の日本法人(現LINE株式会社)。アプリは平成23年6月に登場し、同年末にスタンプ機能が加わった。スタンプは今や世界で2万種類以上が展開されているが、当初は丸い顔で喜怒哀楽を表現したオリジナルの「ムーン」など3種類だけだった。
「LINEは当初から世界中の人々が使えるアプリを目指していた。言語の垣根を越え、言葉のいらないコミュニケーション方法が理想だった」
LINEコンテンツ事業部スタンプ企画チームの渡辺尚誠マネージャーは、開発当時の狙いをこう語る。
企画チームが参考にしたのは、既にガラケー(従来型携帯電話)で一般化していた絵文字やデコメ(デコレーションメール)だった。特に、女性は絵文字の利用頻度が高いとされており、スタンプでも女性に好まれそうなかわいいデザインを採用していった。
狙いが当たり、スタンプは女性を中心に支持を拡大。「文字だけではそっけないような場面でも、絵を交えることで気持ちが柔らかく伝わる」と渡辺さん。言葉に“味付け”を加える絵文字の効果をさらに増幅させた点に、スタンプ人気の理由はありそうだ。