現在は全国の取引先のニーズに対応するため、茨城県常総市の茨城工場をはじめ、九州、中部、関西、東北の全国5工場を稼働するほか、地域貢献と事業の多角化の一環として温泉事業も手がける。
そんなメークスが現在、社運を懸けて取り組んでいるのが、住宅基礎の工期を短縮する新工法の実用化だ。きっかけは「『職人がいなくて着工できない』という現場の声」(小島孝仁開発本部長)。
住宅の基礎は、建物の安定や強度、耐久性を決める最も重要な工程で、熟練した職人の技術が不可欠。そうした職人の減少は以前から問題となっていたが、震災後の住宅建設ラッシュで「決定的」となった。そこへ追い打ちをかけるように、2020年東京五輪の開催が決定。業界の人手不足は危機的な状況となっている。
◆来春に工場新設
省力化のニーズは高まっていたが、新工法の開発のための初期投資は大きく、誰も手をつけてこなかった。それでも、「中小企業だからこそ、リスクを背負ってでも新しいことに挑戦していくべきだ」という森山会長の決断で、昨年2月から新工法の試験を始めていた。
来年3月には茨城県阿見町にも工場を新設し、6月には開発した新工法で使う鉄骨や鉄筋の生産に乗り出す計画だ。組織改編にも着手し、今年8月から森山会長の長男、慶一氏が新社長に就任して新体制でさらなる販路拡大を目指している。その根本には「小さくても挑戦を続けるトップランナーとして、業界全体を良くしていきたい」という創業当時からの理念がある。(緒方優子)
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【会社概要】メークス
▽本社=茨城県守谷市中央4-10-9 ((電)0297・55・1611)
▽設立=1985年6月
▽資本金=1億円
▽従業員=約260人
▽売上高=68億円(2014年5月期)
▽事業内容=ユニット式基礎鉄筋の製造・販売、温泉施設運営