技術的に成熟し、付加価値を付けにくい加湿機は、メーカーにとっても難しい商品だった。季節性の高い商品で、“当たるか当たらないか”でそのシーズンの収益が大きく左右される。4年前にいったん加湿機市場からの撤退を決断した三菱電機は、以来、新たな乾燥対策商品の検討に取り組んだ。
その中で浮上してきたのが、部屋全体を加湿するのではなく、乾燥によるトラブルが起きやすい、寝ている人の顔周辺だけ加湿しようというアイデアだった。顔を加湿する商品は、美容機器として多数販売されているが、いずれも短時間に集中的に加湿するもの。寝ている間ずっと湿度を供給し続ける商品は前例がなく、機能や安全性の面で検討しなければならない課題は数多くあった。
◆スチームファン方式採用
加湿方式は、衛生面が気になる超音波式や顔に冷たさを感じやすい気化式を避け、スチームファン方式を採用することにした。しかし、温度の高いスチームはすぐに上昇して、天井近くの湿度は上がっても、寝ている顔の周辺にはすぐには届かない。ノズルから勢いよくスチームを吹き出す方式も検討したが、吹き出し音やノズルにたまった水の飛び散りによって安眠が妨げられる。また、高温のスチームを直接顔に当てることの危険性も考慮しなければならなかった。