そこで開発したのがコアのない平らなモーターだ。電機製品の回路に使われるプリント基板技術を応用。メッキやエッチング、写真製版の複合技術で精密な回路を形成する手法である「フォトファブリケーション」によって、薄い銅基板にモーターの中核となる「電機子回路」を作り込む。それを複数重ね、磁力の強い希土類磁石と組み合わせて、鉄心がなくても高出力が得られるようにした「I・Kコアレスモータ」を完成させた。このモーターを搭載して、2005年に北海道森林管理署向けに製品化した電動刈払機が「デン・カル」だ。
「大きな特長は、極めて振動が小さいために作業時間の規制を受けないほか、騒音も少なく防音防振具の着用も不要、メンテナンスも容易、排ガスが出ないために環境に優しく、ランニングコストも10分の1以下になった」(岩谷社長)と、従来品より使い勝手を大きく向上させた。
◆販売拡大で苦心
実績のなかった新製品だけに販売網の構築には苦心した。専門業者や大手レンタル会社と提携し、林野庁や国土交通省、地方自治体などだけでなく、農家や一般消費者向けに刈払機の販売を増やした。また、大手工具メーカーにOEM(相手先ブランドによる生産)製品として供給することで全国で販売実績を上げてきた。
刈り払った枝葉を吹き寄せて吸引する「ブロワ」など関連製品も開発。来年4月からは、さらに軽量化し、4割出力を高めた350ワットタイプの販売に乗り出す。将来は輸出も視野に入れている。
コアレスモーターの展開については、「モーター単体として注目されており風力発電機や電気自動車、ロボットをはじめ産業機械などの分野で応用を目指す。高付加価値で独自性の高さを生かせる市場に導入したい」(岩谷社長)と新規需要を開拓していく考えだ。(川端信廣)
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