【視点】産経新聞編集委員・芳賀由明 日本郵政、上場まで1年足らず (1/3ページ)

2014.12.30 05:00

 ■急がれる全社的な意識改革

 小泉純一郎首相が政治生命をかけて成立にこぎつけた郵政民営化が、10年もの月日を経てようやく現実になろうしている。強引な完全民営化路線は自民党議員の大量造反を生み、第一次安倍晋三政権になっての復帰、さらに民主党政権に代わって大きく揺り戻された末の3党合意。巨大官業の民営化の必要性と、ユニバーサル(全国均一)サービスを軸とする郵便事業維持という水と油の政策の衝突だったといえる。

 政争に揺さぶられた日本郵政は経営体制が2度入れ替わる混乱が続いた。曲折の末に動き出した巨大郵政民営化は、政治に翻弄された「失われた10年」を取り戻す総決算となる。

 日本郵政の西室泰三社長が26日に発表した株式上場計画は、持ち株会社の日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の3社が来年秋に同時上場するという前代未聞の上場スキームを描く。

 幹事証券会社が11社に上ることも含め、異例づくしの大型新規株式公開(IPO)の成否を内外の市場関係者が注目するが、最も注目すべきは3社のNTT以来といわれる上場規模の大きさより、日本郵便がどれだけ新たなサービを生み出し、全国2万4000カ所に張り巡らされた郵便局ネットワークに血脈を通わせることができるかどうか、である。

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 日本郵政が巨大官業の衣を脱ぎ捨てて官業から民業への試みは、実は日本郵政公社が発足した2003年に始まっている。生田正治総裁の号令一下、現場では収益改善を狙ったさまざまな営業努力や地域貢献が試行錯誤されていた。ローソンとの提携事業もこの年にスタートした。しかしその後、経営体制が揺れ動くなかで、現場の意識改革の芽の多くがしぼんでしまった。

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