◆物流手段に強み
しかし、インスタカートが際立っているのは何よりもその物流手段である。同社を「ソフトウェア企業」と言明するCEOのメタ氏は、特定の小売店や食料品店と結びつきを強めず、ホールフーズやコストコなど複数の小売店と手を組み、在庫を抱えることなくネットスーパー事業を極めようとしている。ユーザーは普段買い物をしない食料品店で我慢しなくても、店舗横断的に好きな店で好きな商品を買える。スーパーからスーパーへ走り回る必要もない。
米国では大型スーパーへの交通手段がない若者らに支持が広がりそうなサービスだ。日本では生協の宅配サービスや小売店・百貨店のネットスーパー、有機野菜の宅配サービスなどが利用されている。過疎地域や被災地では移動販売車が役立つという。インスタカートのような店舗横断的な仕組みにも成長の可能性があるのではないか。
生産性を高める技術は次々に生まれ、一般の消費者にとっても身近な存在になりつつある。しかし、消費者はこれまでの習慣をがらりと変えるのを嫌うということを、企業は理解しておかなければならない。同じスーパーで毎週同じ物を買って似たような夕飯を作る。インスタカートは、技術の力で私たちをもっと怠け者にしてくれそうだ。
文:イジョビ・ヌウェア
訳:堀まどか
◇
【プロフィル】Ejovi Nuwere
イジョビ・ヌウェア ニューヨーク生まれ。無線LAN共有サービスFON創業者の一人。ビジネスウイーク誌により「25人のトップ起業家」に選出される。ネットマーケティングのランドラッシュグループ株式会社、アジアと英語圏で展開するオンラインバイリンガル秘書サービスのKaori-sanを創業。