社内だと秘書室に察知されかねない、と身内も欺く作戦で、飯島氏自ら送迎の車やルームサービスを手配するなど周到な情報漏洩(ろうえい)対策を講じた。
てっきり通常の打ち合わせだと足を運んだ安永氏は、突然の後継指名に「頭が真っ白になった」と振り返る。いったんは固辞したが、「天命と思って受けてほしい」と諭され、覚悟を決めた。
安永氏については「優秀な人間だが、社長になるとしたら次の次」というのが周囲の下馬評だった。
しかし、飯島社長にとって安永氏は意中の後継者だったといっていい。
飯島社長は2010年7月から経営企画部長時代の安永氏と3年間、毎週月曜日に差し向かいで経営課題を議論してきた。こうした議論の中で「『温かい心と強い決断力』を併せ持つ人材」(飯島社長)と経営者としての素質を見いだし、将来の社長有力候補リストに加えていた。昨年6月には、若い人材を幅広く登用するため、取締役だけでなく執行役員からも社長を選任できるよう定款を変更していた。