東大などが開発した2台の低温動作・光格子時計。同じ高さに設置した2台の時計の比較で精度を高めた【拡大】
この不確かさは、原子が運動することにによって生じるドップラー効果の影響によって発生する。そこで、レーザー光を干渉させて生成した多数の微少空間(光格子)に原子を閉じ込めると、原子の運動を凍結できる。この場合も、レーザー光の影響を受けて、原子の振り子の振動数が変化するが、「魔法波長」と呼ばれる特定の波長で光格子を作ると、原子振り子の振動数は変化しなくなる。
この原理を用いて作成したのが光格子時計だが、これまでは原子を囲む室温の壁から放射される電磁波(黒体輻射)が原子振り子の振動数を変化させるという課題があった。今回、同研究グループは、絶対温度95Kに冷却した恒温槽の中に原子を高精度に分光する時計システムを構築し、黒体輻射の影響を室温に比べ約100分の1に低減することに成功した。
現在のセシウム原子時計では、この光格子時計の精度を計測できないため、同チームは光格子時計を2台開発。この2台を比較し、2×10’~18の精度で一致することを確かめた。これは1秒ずれるのに160億年かかることを意味し、宇宙の年齢の138億年より長い。