【番頭の時代】第2部 「飛躍」を生み出す(4) クラウドワークス (3/5ページ)

2015.2.27 05:00

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 ■将来ビジョン 社長の意をくみ描く

 「最初の会社で働くのは3年くらいかな」

 99年、厳しい就職戦線を勝ち抜きトヨタに入社した田中は、当初からこう考えていた。配属は花形のマーケティング部門。新車の仕様の企画立案や需給計画の策定、広告宣伝などに携わる中核部署だ。

 いまでも田中は「トヨタほど良い会社はない」という。だが、伝統ある大企業では「いかにクルマを売るか」という方法論がしっかりと出来上がっていた。上司や先輩が培った仕事を、いかに上手になぞれるか。そうした仕事に、田中は情熱を注ぐことができなくなっていった。

 組織の中での出世競争よりも、自分の能力を高め、キャリアを切り開きたいという思いが勝った。田中はわずか4年でトヨタを離れた。

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 トヨタ在職中も、田中は毎月2度、名古屋市から自費で東京に行き、異業種交流会などに足を運んだ。クラウドワークス社長の吉田浩一郎と出会ったのも2002年の交流会だ。

 当時、国際見本市の企画運営会社にいた吉田は「営業の達人」と刷り込まれた名刺を配っていた。

 「なんか面白い人だ」と思った田中は、以来、吉田と友達づきあいをしてきた。

 この間、田中は外資系コンサルティング会社やテレビ通販制作会社でキャリアを積んだ。一方の吉田は、IT企業の営業担当役員に転職し、上場を果たした後、11年にクラウドワークスを立ち上げた。仕事に追われ、会う機会も少なくなっていた。

 「最近、何してるの?」

 交流サイト、フェイスブックで吉田からこんなメッセージが届いたのは13年11月だった。久しぶりに顔を合わせたとき、吉田は「会社の10~20年後の未来を描いてほしい。うちで働かないか」と切り出した。

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