最初の作品は、人気少女漫画を原作にした「ハチミツとクローバー」。その後も、「Paradise Kiss」や「のだめカンタービレ」など、一般の視聴者層にも好まれる漫画をアニメ化した。アニメーション研究家の氷川竜介さんは「それまで、あまり深夜アニメを見ていなかった若い女性も楽しめ、話題にできるアニメを放送してきた。新たな視聴者層を開拓したことに加え、放送枠により、定期的な『視聴習慣』をつくった意義は大きい」と指摘する。
「あの花」大人気
ノイタミナの“転機”となった作品は、21年に放送された「東のエデン」だという。原作がなく、ノイタミナのために書き下ろされた初のオリジナル作品で、後に劇場版が前後編で公開されるなど人気を博した。松崎部長は「オリジナル作品でもやれる、という自信がついた」と振り返る。
オリジナル作品の中には、アニメファン以外にも広く認知された作品もある。幼なじみの死を引きずる高校生たちの恋や友情、成長を扱った作品「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(通称「あの花」)は、話の展開や演出の巧みさが人気を集めた。舞台となった埼玉・秩父には「聖地巡礼」するファンが集まり、街ぐるみのイベントも開催されるなど社会現象にもなった。