差出人は、陸前高田市で市政アドバイザーを務める村上清さん。村上さんは、国連難民高等弁務官事務所などでの経験を生かし、復興支援のNPO法人(特定非営利活動法人)を設立。津波で倒れた松材を使ったキーホルダーなどを製作してきた。そこに飛び込んできたのが、一本松が枯死したとの知らせ。市は一本松をモニュメントとして保存すると決めたが、保存の過程で松材の一部が活用されずに残った。
難航極めた製品化
「“歴史の証人”を生かさなければ」。市長から相談を受けた村上さんは熟慮の末、子孫代々に受け継がれる万年筆として一本松を再生する案を思いつく。依頼する企業はモンブランしかなかった。メールを受けた浅葉さんも「ぜひ関わりたい」と、上司に掛け合って開発が始まった。
柔らかい松材、しかも津波の塩分が含まれる素材とあって製品化は難航を極めた。太めの枝は万年筆に必要な強度を満たさないことが判明、製造本数を当初から大幅に減らしたほか、仕上げの塗装も強度との兼ね合いでぎりぎりの調整を余儀なくされた。