一本松が「復興の象徴」という特殊性も、開発チームにデリケートな判断を迫った。一部の材料は黒ずんだ木目が痛々しく「高級万年筆として耐えうるかという議論もあった」(浅葉さん)ほか、当初は価格設定も素材の品質を調整し、限定商品としては廉価にしてはとの案もあった。だが開発チームが出した答えは「一本松が形を変えて存在し続けることを最優先」(村上さん)。黒ずんだ木目はデザインに生かし、素材が高価でも「所有者が代々受け継ぎたいと思える品質」(浅葉さん)にこだわった。発売公表の2月25日以降、同社には多くの購入予約や問い合わせが寄せられている。
震災から4年。復興に向けて歩んできた市民の心が折れそうになる時期でもある。「だから被災地には、前進していると実感できるトピックが必要」と村上さん。生まれ変わった一本松が、再び市民の力となることを願っている。(佐久間修志)