◆地響きのような勢い
「女性たちの声を聞いていると地響きみたいなモメンタム(勢い)があります。最初は数合わせのように登用されるケースもあるかもしれませんが、身の丈以上の仕事に挑戦するのはグローバルビジネスでは当たり前。経団連の仕事も、私にとっては背伸びというよりもピンヒールで竹馬に乗っているようなもの。それでも転ばずにやっていく覚悟があるのは、自分の娘たちの世代のために(女性活躍の)道を作りたいという強い思いがあるからです」
今でこそ活躍する日本の女性の先頭を走っているが、少女時代は保守的な家庭に育ち、「女性らしさ」や「仕事よりも、幸せな結婚」を求められた。
「3人姉妹の真ん中でした。3人とも見合い写真を回覧してもらいましたが、姉も妹も引き合いがあるのに、私の写真だけ決まって丁重な理由が付いて戻ってくる。仕方がないので父の助けで就職先を見つけました。母には『2、3年したらいい人を見つけて結婚しなさい』と言われました。でも、その瞬間に自分の人生が終わりまで見えてしまい、愕然(がくぜん)としました」
その直後、原因不明の病に襲われ、人生が一変する。就職の内定も取り消され、床に伏せっている間、親が良かれと思ってしてくれているのに反抗していた自分を責めたが、「咲きたい花を咲かせたい」という情熱は消えなかった。