≪「大型郵便受け箱」設置普及の取り組み≫
■多様な形状に対応 再配達を減らし物流効率を高める
日本郵便は昨年10月、ネット通販大手のアマゾンと住環境メーカーであるナスタの2社と協力し、大型郵便受け箱「D-ALL(ディーオール)」の設置普及に向けた取り組みを開始すると発表した。ネット通販市場の拡大で多様な形状の荷物の増加に対応し、差し入れ口の大きい郵便受け箱の設置普及を進める。これまで配達できず持ち帰っていた荷物の再配達を減らし、物流効率を高めることが狙いだ。受取人にとっても商品を早く受け取ることができるなど利便性は高まる。
この取り組みの背景にあるのは、新築マンションなど集合住宅に設置される郵便受け箱の差し入れ口の広さが、3センチ未満と狭くなっていることにある。「これは盲点でした」と日本郵便の津山克彦執行役員は振り返る。
集合住宅は1階の共用部に郵便受け箱を設置することが義務付けられている。しかし、2階建ては対象外。この対策に日本郵便は力を入れてきた。配達の効率化を図るためには必要なことであったのだが、時代は変わっていく。総務省の規定では郵便受け箱の差し入れ口は2センチ以上に定められている。共有部の効率化を図ろうとすればマンションの郵便受け箱は小型化し、差し入れ口は小さくなる。
「データをみると確かに持ち戻り件数が増えている。再配達が増えることはコストアップ要因につながり、これがEC市場の成長を阻害する可能性さえあると感じた」(津山執行役員)という。ポストインの物流は、利用者のストレスを無くし、配達する側の手間を省く。さらに通販事業者にとっても商品が迅速に届けば利用者増につながるメリットがある。「好サイクルを生み出せば、EC市場の発展に貢献できる」(同)と強調する。