原子力発電所の稼働停止問題などで出遅れていた電力10社の株価が急上昇している。この約1カ月で東京電力が5割ほど値上がりしたほか残る9社も全て上昇し、日経平均株価の上昇率を上回った。政府が2030年の原子力比率を20~22%とする電源構成案を公表するなど原発再稼働の動きが加速。事業環境が上向くとの期待が高まり、投資家の資金を呼び込んでいる。
4日の東京株式市場では利益確定の売りが入り、東電が前日比36円安で取引を終えるなど関西電力を除く9社で値下がりした。しかし今後も「買い圧力は続く」(市場関係者)との見方は強い。
株価が上がっているのは、原発再稼働により各社の業績が改善するとの思惑が投資家の間で強まっているからだ。
政府は4月28日に電源構成案を公表。5月20日には原子力規制委員会が四国電力伊方原発3号機の安全対策に事実上の「合格」を与えたことで「今後も再稼働が続くとの期待を高めた」(SMBC日興証券の塩田英俊シニアアナリスト)。